No.427
2009-01-06
“がん”からの生還
494 船の旅・考
493 「キャタピラー」
492 急がば回れ!
491 三浦哲郎の歳月
490 未完絶筆 良寛
489 女優というもの
488 「クロッシング」
487 ペシャワール会 中村哲
486 独楽吟
485 6月15日に考える
484 究極の分かち合い
483 思い出袋
482 浦河べてるの家2
481 経営者人材
480 「茜色の空」
479 「嗚呼 満蒙開拓団」
478 追悼・井上ひさし
477 ホスピス・ものがたりの郷
476 拉致家族会
475 ものがたり診療所
474 実朝忌
473 地域金融
472 日韓併合100年
471 「逝かない身体」
470 春近し
469 みすず書房
468 イサム壮行会
467 労働市場の改革を!
466 天上大風
465 ベーシックインカム
464 捨てる心地よさ
463 「カティンの森」
462 回想の魔術
461 ノンエリートの社会空間
460 「普天間」を乗り切る
459 光州の記憶
458 死者よ来たりて
457 ビジネス・インサイト
456 率直な疑問
455 自己愛に沈む若者
454 続・演劇の力
453 演劇の力
452 「こどものその」
451 農業政策の分岐点
450 抱きしめたい8月
449 “こころ”という代物
448 不良少“女の一生”
447 湯布院と博多祇園山笠
446 男おひとりさまの老後
445 ふるさときゃらばん公演
444 名古屋市に注目!
443 トップ人事と秘話
442 バロン・サツマ
441 「グラン・トリノ」
440 「パンデミック」
439 後輩X君へ
438 すべてが廃虚に
437 「法然と親鸞」
436 「ムサシ」
435 ヒトを選ぶ
434 闇社会・京都の影
433 笑うしかないか
432 ラジオと映画
431 通訳から作家へ
430 「生き急ぐ」内村剛介
429 携帯を忘れた旅
428 1枚の賀状から
427 “がん”からの生還
426 2人の恩人との別れ
425 育英基金構想
424 レッドクリフ
423 アパの真相
422 無冠の車椅子
421 画家 木下晋
420 科学者たちの楽園
419 救急精神病棟
418 紅とんぼ
417 極道記者
416 機先を制する
415 新・脱亜論
414 浜口陽三・南桂子
413 朝の靴音
412 “友川カズキ”を贈る
411 コンベンションビジネス
410 キューバ
409 信長
408 横付けサービス
407 脱・脱ダムと新幹線
406 ポスト消費社会
405 黒山もこもこ
404 ふり返る勇気
403 吹田事件
402 伏木・没落旧家
401 「じゃあな」




 旧臘にうれしいメールが届き、3日には一緒に食事することができた。この一口一口が身体にエネルギーを与えているのが実感できるんだ、とうれしそうに食べる。さて、この神様からプレゼントされた命をどう使うのか。楽しみである。
 昨年2月、例の居酒屋で高校同期6人が呑んだ時に始まる。ゆずりは通信(?391)で取りあげた男6が、舌の付け根に痛みを感じるのだ、と酒を飲まなかった。おい、変なものができてるんじゃないだろうな、と応じたのが男1。これを真に受けて、翌日すぐに医者に駆け込んでいたのである。富大付属病院でPETによる造影検査等をした結果が「口腔底ガン」。即日入院となった。進行性のもので、手術は無理と判断された。放射線と抗がん剤での治療となるが、あごの骨が溶け、総入れ歯となるリスクもあるとの宣告も。入院前日のメールが、覚悟を決めて闘病生活に入る、もう連絡するな、見舞いも結構だというものだった。糖尿病もあるし、次に来るのは訃報しかないな、と誰もがそう思わざるを得ない。それから10ヵ月の音信不通である。
 ところがどうだ。届いたのは訃報ではなく、がん細胞が消え、足の指を切断までした糖尿病の数値までも改善したという。動脈からカテーテルを入れ、患部へ直接抗ガン剤を当てる治療が5回、それに並行して放射線照射を35回。年齢・体力をある程度無視したという荒っぽい治療だったらしい。最新のPET/CTの造影検査や細胞の摘出検査の範囲内で、ガン細胞が消滅しており、再発の兆候も今のところみられない。歯も1本も抜け落ちてはいない。医者自身が不思議だといいながら、11月からの職場復帰を許可するしかなかった。
 この生命の不思議さはどうか。男6の生命体は、60兆の細胞から成り立っている。その細胞のすべてが分解と合成を繰り返しながらの、いわば自転車操業。物を食べるということは、単にエネルギーの補給に留まらず、食物の持つたんぱく質がひょいとある細胞に置き換わる。パズルのピースのようにピタッと収まるのだ。生命の維持とはこの自転車操業だが、永遠に狂うことなく続いているわけではない。必ず狂ってくる。これをエントロピーの法則というが、パズルのピースである細胞があるべきところに収まらないで勝手に増殖しだすのが、がん細胞である。その行き先に死がある。思えば、60兆の細胞の絶妙なバランスの上にあるのが生命ということになる。これが38億年間繰り返されているのだ。とにかくままならないのが、命ということになる。
 さて、新春早々の結論である。命さえままならないのに、他のものがままならくとも、何ら恐れることはないのではないか、ということ。エントロピー増大の法則に誰も抗うことはできない。それなら、その法則に任せるしかない。そこに任せて、与えられたものを楽しんでしまえ、という結論だ。
 とはいいつつ、イスラエルのガザ地区に対する攻撃には、人間の愚かさに深い絶望を感じざるを得ない。イスラエルの若き兵士に、ハマスの若き闘士に、これでいいのかと問いたい。なだいなだもいっているが、過去の有名なユダヤ人たちにも出てきてもらって、一言いってもらいたい。アインシュタインは、チャップリンは、マルクスは。トロツキーは。
 不況や、派遣村の方が大事だという意見もあるが、このパレスチナ問題を真剣に考える想像力を持たないで、不況対策を論じてもそれは本質的なものにはならないと思う。
 父を喪っての新年であるが、やはり念頭のあいさつは申しあげたい。ままならない命だけに、この1年ももがき苦しみ、そして楽しむぞと決意を込めて。
 みなさん、明けましておめでとうございます

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