No.437
2009-04-17
「法然と親鸞」
494 船の旅・考
493 「キャタピラー」
492 急がば回れ!
491 三浦哲郎の歳月
490 未完絶筆 良寛
489 女優というもの
488 「クロッシング」
487 ペシャワール会 中村哲
486 独楽吟
485 6月15日に考える
484 究極の分かち合い
483 思い出袋
482 浦河べてるの家2
481 経営者人材
480 「茜色の空」
479 「嗚呼 満蒙開拓団」
478 追悼・井上ひさし
477 ホスピス・ものがたりの郷
476 拉致家族会
475 ものがたり診療所
474 実朝忌
473 地域金融
472 日韓併合100年
471 「逝かない身体」
470 春近し
469 みすず書房
468 イサム壮行会
467 労働市場の改革を!
466 天上大風
465 ベーシックインカム
464 捨てる心地よさ
463 「カティンの森」
462 回想の魔術
461 ノンエリートの社会空間
460 「普天間」を乗り切る
459 光州の記憶
458 死者よ来たりて
457 ビジネス・インサイト
456 率直な疑問
455 自己愛に沈む若者
454 続・演劇の力
453 演劇の力
452 「こどものその」
451 農業政策の分岐点
450 抱きしめたい8月
449 “こころ”という代物
448 不良少“女の一生”
447 湯布院と博多祇園山笠
446 男おひとりさまの老後
445 ふるさときゃらばん公演
444 名古屋市に注目!
443 トップ人事と秘話
442 バロン・サツマ
441 「グラン・トリノ」
440 「パンデミック」
439 後輩X君へ
438 すべてが廃虚に
437 「法然と親鸞」
436 「ムサシ」
435 ヒトを選ぶ
434 闇社会・京都の影
433 笑うしかないか
432 ラジオと映画
431 通訳から作家へ
430 「生き急ぐ」内村剛介
429 携帯を忘れた旅
428 1枚の賀状から
427 “がん”からの生還
426 2人の恩人との別れ
425 育英基金構想
424 レッドクリフ
423 アパの真相
422 無冠の車椅子
421 画家 木下晋
420 科学者たちの楽園
419 救急精神病棟
418 紅とんぼ
417 極道記者
416 機先を制する
415 新・脱亜論
414 浜口陽三・南桂子
413 朝の靴音
412 “友川カズキ”を贈る
411 コンベンションビジネス
410 キューバ
409 信長
408 横付けサービス
407 脱・脱ダムと新幹線
406 ポスト消費社会
405 黒山もこもこ
404 ふり返る勇気
403 吹田事件
402 伏木・没落旧家
401 「じゃあな」




 とにかく外に出よ!飛び込んだ先が現場である。その現場で、錆びかけている脳細胞を奮い起こすのだ。そう長くはない命なのだから、という天の声に導かれ、ウロウロ右往左往の毎日といっていい。
 4月9日午後2時、砺波市文化会館「法然と親鸞」と手帳に小さくメモしてあるが、優先するものではなかった。その日は、銀行の砺波支店とJAとなみ野での打ち合わせが小刻みに入っており、無理かなと思っていたが、折り好くふたつの用件が片付き、小用も催してきて、これもお導きと従った。前進座が法然上人800年大遠忌、親鸞聖人750回大遠忌・御遠忌を記念しての巡回公演で、真宗王国での集客力を当て込んだのもの。会場前には看板もなく、初めて売場に立つような素振りの男が机の上にチケットを置いて、所在無げに座っていた。当日券はあるかと聞くと、一般席は5,000円だが、前の方の指定席が1枚残っているという。6,500円だが、これも縁だと割り切る。客の入りは満席とはいかない。70歳ぐらいの女性を中心に7割というところ、寺ごとの割り当て動員と見て取れる。蓮如の何回忌かの公演では、満席であったことを思うと、お寺の衰退は想像以上に進んでいるのかもしれない。
 保元・平治の乱、平家の滅亡と戦乱が相次ぎ、飢饉から餓死するものが都中にあふれる中で、法然が「かなしきかな、かなしきかな、いかがせん、いかがせん」と涙しながら求め続けて、ただ念仏を唱えさえすれば、誰しも救われるとする考えに至った。現代はどうか。10年以上3万人が自殺に追い込まれ、多くの人間が将来に大きな不安を抱いている。派遣村は日比谷公園であり、厚生省の講堂をねぐらとした。なぜ、浄土宗大本山・増上寺でなかったのか、築地本願寺でなかったのか。この現代を宗教者としてどう捉えているのか、問われてしかるべき問題だと思う。真宗には、中興の祖として蓮如があり、明治期には清沢満之を得、北陸の地をその弟子・明烏敏(あけがらす・はや)が名説法をして駆け巡った。時代にあった活動があるはずである。このままでは、お寺の維持さえ困難になっていくのは目に見えている。お寺との付き合い方、墓の維持をどうするか、みんな困り抜き、悩んでいる。一度、若き僧たちに膝突き合わせて話してみたい。
 それでもやはり、思わぬ出会いはあった。「一枚起請文」(いちまいきしょうもん)。法然が臨終に際して、認めさせた遺戒である。浄土宗の教義はこの1枚に尽きる、とまでいい切っている。プログラムに歎異抄第2条と並んで、掲載されていた。「智者のふるまいをせずして、只一向に念仏すべし」、祖母が毎日仏壇に向かって、お経をあげていたが、それは「一枚起請文」だったのだ。今になって知るとは、浄土宗門徒として恥ずかしい限りである。でも、字の読めなかった祖母がひたすら一枚起請文をそらんじる声がふと耳によみがえって、温かい気持ちになった。
 法然を演じるのは中村梅之助だ。父中村翫右衛門が河原崎国太郎と一緒に創立した前進座を率いている。朝ドラ「つばさ」に出演している中村梅雀は息子である。親鸞は嵐圭史で、「子午線の祀り」で平知盛を好演して以来、注目しているひとりである。販売コーナーには、平家物語全巻の朗読CDが並んでいる。前進座の経営も楽ではないのだろうなと思いつつ、手に取っていた。
 さて、念願のナラティブホームが、4月8日「医療法人社団ナラティブホーム」として登記を済ませた。開業は来年4月1日。“いよいよ”であるが、“まだまだ”である。63歳にして、飛び込んだ先の現場だ。あんまり力みすぎてもよくないことは承知している。どなたでも参加できるNPO法人も視野に入れているので、ひょっとして、読者であるあなたに協力を願う時がくるかもしれない。ボランタリー経済の実践とも考えているので、その節はよろしくお願いしたい。他力本願ともいえるか。

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