No.470
2010-02-15
春近し
494 船の旅・考
493 「キャタピラー」
492 急がば回れ!
491 三浦哲郎の歳月
490 未完絶筆 良寛
489 女優というもの
488 「クロッシング」
487 ペシャワール会 中村哲
486 独楽吟
485 6月15日に考える
484 究極の分かち合い
483 思い出袋
482 浦河べてるの家2
481 経営者人材
480 「茜色の空」
479 「嗚呼 満蒙開拓団」
478 追悼・井上ひさし
477 ホスピス・ものがたりの郷
476 拉致家族会
475 ものがたり診療所
474 実朝忌
473 地域金融
472 日韓併合100年
471 「逝かない身体」
470 春近し
469 みすず書房
468 イサム壮行会
467 労働市場の改革を!
466 天上大風
465 ベーシックインカム
464 捨てる心地よさ
463 「カティンの森」
462 回想の魔術
461 ノンエリートの社会空間
460 「普天間」を乗り切る
459 光州の記憶
458 死者よ来たりて
457 ビジネス・インサイト
456 率直な疑問
455 自己愛に沈む若者
454 続・演劇の力
453 演劇の力
452 「こどものその」
451 農業政策の分岐点
450 抱きしめたい8月
449 “こころ”という代物
448 不良少“女の一生”
447 湯布院と博多祇園山笠
446 男おひとりさまの老後
445 ふるさときゃらばん公演
444 名古屋市に注目!
443 トップ人事と秘話
442 バロン・サツマ
441 「グラン・トリノ」
440 「パンデミック」
439 後輩X君へ
438 すべてが廃虚に
437 「法然と親鸞」
436 「ムサシ」
435 ヒトを選ぶ
434 闇社会・京都の影
433 笑うしかないか
432 ラジオと映画
431 通訳から作家へ
430 「生き急ぐ」内村剛介
429 携帯を忘れた旅
428 1枚の賀状から
427 “がん”からの生還
426 2人の恩人との別れ
425 育英基金構想
424 レッドクリフ
423 アパの真相
422 無冠の車椅子
421 画家 木下晋
420 科学者たちの楽園
419 救急精神病棟
418 紅とんぼ
417 極道記者
416 機先を制する
415 新・脱亜論
414 浜口陽三・南桂子
413 朝の靴音
412 “友川カズキ”を贈る
411 コンベンションビジネス
410 キューバ
409 信長
408 横付けサービス
407 脱・脱ダムと新幹線
406 ポスト消費社会
405 黒山もこもこ
404 ふり返る勇気
403 吹田事件
402 伏木・没落旧家
401 「じゃあな」




 高校の同窓会広報誌の手伝いをしている。ひょんなことから、大阪への出張取材となった。医療法人の3月開業に向けてとても忙しく、代役を何人かに打診したが、みんなしり込みされてしまい、自分でやるしかなくなったのである。重要会議を欠席しての取材だったが、とても面白かった。時代がよく見えてくる。その中での4人を紹介する。
 博報堂勤務の男性48歳。広告業界は崩落しそうになっている。シャープ、スズキを担当しているが、中国・インド市場にどう取り組むかがすべて、国内をどうするなんて誰も考えていない。上海、デリーが仕事の中心。日本の20年前という感覚だが、そうかといって昔の日本ノウハウが簡単に通じるわけでもない、2段飛びに階段を駆けあがることもある。とにかく素直にグローバルな動きにのっていくしかない。大胆なリストラは避けて通れない。
 大阪市立大学大学院医学研究科の教授で男性51歳。研究は「神経再生」と「疲労」。疲労のメカニズムを、自律神経のR波の動き、ホルモンの濃度などで突き止めて、マーカーの開発などが目標だ。教授というが、中小企業のオーナーと変わらない。研究費をいかに獲得するかがカギで、企画力、業績が絶えず問われている。危惧するのは、旧帝大と他の大学の格差がますます広がっていること、加えて人材のすそ野がやせ細っていること。博士課程を大増員したがポストが現状のままで、任期制の登用もあるが哀しく厳しい現実だ。
 神戸市企画調整局勤務の男性49歳。京都大学で都市計画を学び、当時神戸株式会社といわれ、都市開発の先頭を走った神戸市に職を求めた。六甲山を削り取り、ポートアイランドができたが、そこでのプロジェクトである次世代スーパーコンピューターの活用を産業界に働きかけている。コンピューター上でシュミレーションさせて、開発コストの削減を図るなどで、その教育啓発も行おうという仕事だ。95年1月17日の大震災が大きな分岐点となった。この大試練に否応なく立ち向かわざるを得ない状況に追い込まれた。行政の担当者自身が被災者でありながら、被災市民のサポートに当たらなければならない。約2ヵ月で大枠の復興計画ができたが、現実には被災者との厳しい軋轢に大いに苦しんだ。今も続く。
 (財)高輝度光科学研究センター・学術博士の女性56歳。富山大学から奈良女子大学院、原子力研究所、滋賀大学とキャリアを重ねてきたが、女性は自分ひとりだった。いつも3倍努力が必要といい聞かせてきた。さて通称スプリング8と呼ばれる大型放射光施設(円形加速器)は直径500メートルで、周囲は1.5キロある巨大なものだが、和歌山カレー事件の砒素分析で一躍脚光を浴びた。本業としては、タイヤのゴム、車のエンジン、最近では考古学の埋蔵物などの物質解析に利用されている。仏、米などをしのいでいるが、設備のコンパクト化が大きな課題となっている。
 この4人に共通しているのが、自分の原型部分がどこで形成されたかと問うたところ、全員が高校時代といっていること。程よい質のそろった仲間がいたのがよかった。これは大学では求められなかったとも。また中高一貫では、思春期の成長リズムとしては長過ぎるリスクがあるかもしれない。
 帰途の列車に、京都から舞妓さん十数人が乗り込んできた。祇園から持ち込んだ割烹こいしのステーキ弁当を早速ひろげ、ペットボトルのお茶にストローを差し込んで飲んでいる。京都弁が耳に心地いい。春近し。

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