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ものがたり診療所の開院に続き、4月1日同じ敷地内にある「ものがたりの郷」への入居が始まった。これは賃貸アパートの名称で、JAとなみ野の所有で、管理もする。家賃は5万円、共益費は9000円、敷金は2ヶ月分で、もちろん光熱費も。すべて平屋の1Kで16室ある。そして同日に「ものがたり訪問看護ステーション」「ものがたりホームヘルパーステーション」が発足した。つまり医療法人社団ナラティブホームの4事業所が近接していて、医療・看護・介護が必要なだけ、このアパート居住者に提供することができるようになったのである。それも365日24時間だ。出前よろしく駆けつける体制で、佐藤伸彦理事長(医師)はじめ、看護師6名、介護士6名含め常勤で合計16名のスタッフが揃っている。わが医療法人の根幹をなす部分といっていい。これを官ではなく、民だけでしかも“持ち寄り”の小資本でやるのだから、ドンキホーテだぞ、と危惧するのは心ある友人ばかりではない。しかし、サイは投げられた。とてもじっとしておれない性分の老人は、富山・呉西地区の基幹病院にある地域連携室を行脚している。
どのような方がこのアパートに適しているのか。わが覚束ないプレゼンテーションだが聞いてほしい。ご清聴ならぬご清読ということになるが。
キーワードは<がんに限らない在宅ホスピス>である。挙げるとすれば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)をはじめとする神経難病の方。癌末期の方。脳血管障害等で寝たきりの状態の方。腎疾患、肝疾患などで末期と診断された方。老衰状態で、最小限の医療での看取りが必要な方、となる。
経管栄養、中心静脈栄養の方を想定しているので、食事は原則として出せない。施設ではないので厨房をもたないし、食事提供は有料老人ホームと見なされるからだ。しかし、隣接の高齢者福祉施設「ちゅーりっぷの郷」の食堂から取り寄せることは可能である。また癌末期、老衰なので少量のみ摂取の時は対応可能なこともあり得る。看取りを念頭においているので、認知症で徘徊などある方は対象外となる。
また、子供さんなどが県外に住んでいて、頻繁に訪問することが出来なくても入居は可能。その場合でも、こちらに任せきりではなく、入居される方への思いが不可欠で、その代わり毎週、情報をメールで知らせ、その返事をもらうなどのコミュニケーションを取っていく。逆に天涯孤独、ひとり身の方は十分可能となっている。
費用だが、アパートの入居費用・食事に加えて、医療・介護保険の自己負担にプラスして、安否確認として1日1,500円(保険外)をいただく。これは生命、健康、また生活を続ける上での最小限必要なサービスと考えている。目安として、居住費、食事など含まずに10万円前後と考えているが、個人差があることも承知されたい。
どうだろう、これで理解してもらえただろうか。採算を見通さなければならない民の辛さを痛感しているが、入院生活での生活支援の乏しさ、施設における団体介護のしばりなどから解放されている利点は多いに評価されていい。退院、退所を強要されることは無い。自分らしい最期を迎えたい人には、選択肢としてぜひ考えてほしい。今春、総合研究大学院大学に社会人入学した妙齢の友人からは既に予約が入っている。「独り身で病身な私は、近い将来お世話にならなくてはならないと思うのでよろしく」と。もうひとりターゲットにしている天涯孤独な畏友、東北のドンホセは、糖尿病に悪戦苦闘しながらも、誰にもお世話にならない孤独死を選択すると頑固宣言している。行政コストを考えていない。困ったものだ。
ここで訃報が飛び込んできた。井上ひさしが亡くなった。新国立劇場で「東京裁判3部作」の公演が開始されたばかりである。残念というほかない。 |
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