ACCHOさんへ。からだの病気は、さまざまな要因が重なりあって発症してくる場合が多いので、考えられるような1つ2つの要因だけを持っていても病気にならないことはいくらでもあります。
一般に、かみ合わせと顎顔面領域の感覚神経系、あるいはかみ合わせと顎顔面領域の運動神経系との関係があることは、過去のさまざまな確かな研究報告からも明らかになってきております。
一方、かみ合わせと自律神経系の関係については不明な点が多く、因果関係がはっきりしません。かみ合わせの感覚情報が神経経路をたどって脳に伝わっていくわけですが、自律神経系とのからみとなると、アゴを動かしたりする運動神経系への反射経路より複雑でもっと上位の中枢で連関しているといわれています。神経から神経への情報伝達を何回か繰り返している途中で、かみ合わせ感覚以外の様々な他の情報がからんできて、促進されたり抑制されたりと、複雑に反応したり逆に全く反応しなかったりする可能性が出てきます。
自律神経とのからみについては、かみ合わせだけが原因とは言いきれません。神経系からするとむしろ遠い因果関係と言ったほうがよいと思います。さらに、かみ合わせ感覚と全身運動系ともなるともっと関係は薄くなります。
ACCHOさんが、現在悩んでいる症状(自律神経失調症、月経前症候群、肩の位置がまがっている、肩こり・腰痛、冷え症)については、それら自身が互いに関連しあって生じていると考える方が自然です。ましてや、親知らずを抜いた事は直接の原因にあてはまらないと思うのですが、もしかしたら親知らずを抜いた時期にたまたま体調のバランスがくずれていたことはありませんでしたか?
さて、かみ合わせについてですが、「上の前歯が下の前歯を2/5程度隠している」とのことですが、正常咬合からするとボーダーラインと言えるかもしれません。また、上下の前歯の正中線がズレている人は、歯科検診を行うと2人に1人くらいは見受けられるものです。ACCHOさんは、「下の顎はやや左(1.5mmほど?)にずれている」とのことですが、そのズレが下記の4つの何から生じているかで、かみ合わせを治す難易度が異なります。
1)アゴの左右の大きさの違いからくる
2)歯のサイズが左右で異なることからくる
3)アゴの咬む位置の違いからくる
4)歯列の中の歯並び・歯のでこぼこからくる
かみ合わせを矯正治療で治すには、上記の1番目の方が困難で、4番目の方が易しい状態です。ヒトは昆虫のように左右対称形のことはありません。左右の大きさ、長さ、形の違いが有る中で、巧みにバランスをとっているのです。そして、ACCHOさんほどの前歯のかみ合わせの状態を全く気になさらずに、平気で生活している人たちがいっぱいいることをお伝えしておきます。
さて、ACCHOさんが、昨今の「あるある何とやら・・」のTV番組と同じように根拠のない無責任な歯科医等による発言により、「かみ合わせと自律神経系の関係について」の情報を得たとしたら、まことに申し訳なく思う次第です。今度はACCHOさんが直接に情報源に問い合わせてみるとよいと思います。「真実かどうか」と。そして、レントゲンを撮っていただき、「右の奥歯の骨が磨り減っているのでここからいずれは歯周病が始まるだろう」と言われた歯科医からは、もう一度良く説明を受けると良いと思います。
今回は、矯正治療以外の一般歯科に関する内容でのご質問でしたが、ACCHOさんがご自身のメールアドレスを記入されずに直接このボックスに投函されましたので、この場で返答させていただきます。ただし、当院のホームページの内容から鑑みますと、もうしばらくの間はこのまま掲載しますが、もう少し時間が経ちましたら本件は削除させていただきますのでご了承願います。
治療費や治療内容や治療期間などについては、当然のことながら各個人によって異なりますので、ご本人様と直接お会いして、不正咬合の状態を確認しなければ判断できないことです。当然のことながら、お電話やメール等ではお答えできません。
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